駅弁勝負
東京駅の駅弁屋「祭」では、二種類の駅弁を買う。
理由は、
1.まだ食べていない駅弁を制覇するには、一種類では追いつかない。
2.殺気感漂う店内の活気に、背中を押される。
3.駅弁勝負へ、保険をかける。
4.一つ買うより千円強の出費となるが、そこにささやかな優越感が付与できる
といった理由による。
さて今日買ったのは、「大宮辯當」松廼屋と「八ヶ岳高原の鶏めし」丸政である。松廼屋は、「岩下の新生姜ととりめし」や「大人の休日」、「うわさの弁当古代米弁当」など意欲的な商品を出している宇都宮の名駅弁屋である。
「大宮辯當」は千円で、列車の町大宮に敬意を払い、各新幹線の色合いを模したアイデア弁当であった。
内容は、紫芋のコロッケ 高菜握り(酢飯に鶏そぼろ)大宮焼印玉子焼き ベーコン入りナポリタン赤パプリカのせサイボク角ソーセージ握り 豚みそ焼き オニオンコールスローサラダ枝豆乗せ 新生姜スライスといった布陣である。
紫芋のコロッケの色合いが目を引く。
いいのは、大宮焼印玉子焼きで、味付けがよく、厚い玉子焼きにかじりつく楽しみがある。
しかしこの玉子焼きを作る技があるのに、他のおかずはどうしたことだろう。
サイボク角ソーセージ握りは、ただ載せてあるだけで、スパムほどの下品さとご飯喚起力持たず、ソーセージをひとかじりした後の気持ちの向ける場所がない。
ナポリタンは、ちぎれて、2〜3センチほどと短く、ケチャップ味も薄く、やるせない。
酢飯に鶏そぼろを巻いた高菜も、味が淡いご飯がでかくて、バランスが悪く、紫芋のコロッケも色を強調するため、芋の量が多くてコロッケ感がない。
おかずで唯一いいのは、豚みそ焼きだが、こいつはご飯喚起力があるだけに、一口かじってご飯を食べたくなる気持ちを、受け止めるものがなく悲しい。
しかもちゃんと箸を入れる長さが弁当箱にあルノに、箸がすごく短区食べづらい。
企画に寄りすぎて、実を失った一例であろう。
片や「八ヶ岳高原の鶏めし」は、「元気甲斐」や「高原野菜とかつの弁当」、「内藤とうがらし」、「やまのごはん」といった名作がある、小淵沢の名店である。
内容は、茶飯 鶏肉照り焼き とりそぼろ 錦糸玉子 レンコンきんぴら 山菜煮 人参漬 桜漬け 海苔、胡麻となる。
鳥の照り焼き、レンコンきんぴらはいい。
しかし苦言を呈したいのは、山菜煮である。
このおそらく冷凍輸入の山菜煮という、どこにも美味しさが存在しないものをどうして弁当屋はつけたがるのだろうかと思う。
値段そのままでも、なくていい。
ないと不安になっちゃうのだろうか。
さらには茶めしも味が弱い。また肝心の鶏そぼろがいけない。
こういうものは思い切り甘辛くしていい。
味付けが中途半端で、ご飯喚起力が弱く、茶飯の弱々しさとともに印象を薄くしている。
こういう鶏めしを食べると、何気内容でありながら、先日紹介した高崎の「鶏めし」がいかに優れているかがわかる。
147大宮辯當 松廼屋(宇都宮)千円
ご飯 1おかず 1 価格1
箸0 特記 郷土色か個性点ノスタルジー1
総計4点(紫芋のコロッケ 高菜握り(酢飯に鶏そぼろ)大宮焼印玉子焼き2 ベーコン入りナポリタン赤パプリカのせ0 サイボク角ソーセージ握り1 豚みそ焼き2 オニオンコールスローサラダ枝豆乗せ1 新生姜スライス1
148八ヶ岳高原の鶏めし 丸政 980円
ご飯1おかず 1価格1
箸2特記 郷土色か個性点ノスタルジー
総計5点(茶飯1 鶏肉照り焼きとりそぼろ1錦糸玉子1 レンコンきんぴら1 山菜煮0 人参漬1 桜漬け1 海苔、胡麻)
ちなみに勝負の方は、推定年齢40歳男性、シウマイ弁当。二つ買ったのに負けました。